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わが国のスクールソーシャルワーカーの
役割・業務と効果的な活用にあたって

わが国のスクールソーシャルワーカーの役割・業務と効果的な活用にあたって

1.SSWの歴史

  アメリカにおい貧困地域に設立されたセツルメントハウスでは、子どもたちの教育保障の場として勉強や料理、体育、音楽を教えたり、また親たちには職業訓練や託児・幼稚園の開設などの取り組みをおこなった。さらに、ニューヨーク市内のセツルメントハウスのワーカーたちは教育委員会に働きかけて、学校給食の保障や校医・スクールナースの配置、障害児クラスの設置などを求めて実現させていった。
   このように、セツルメントハウスのワーカーたちによる貧困地域の子どもたちへの教育保障の取り組みは、さらに学校と家庭をつなぐ活動へと展開していく。アメリカのスクールソーシャルワーカーの起源である訪問教師(visitingteacher)活動は、1906年~1907年にニューヨーク、ハートフォード、ボストンで、それぞれ独立して始動する。
   訪問教師のほとんどは、校長を通して教師から生徒の紹介を受けた。また、社会福祉局からの生徒紹介もあった。訪問教師に生徒が紹介される理由は、主に学業の不適応、悪化した家庭環境、不規則な登校、非行、遅刻、身体状況である。生徒の紹介を受けた訪問教師は、教師との面談、学級内での子どもの観察、子どもへの面談、家庭訪問にて保護者の面談によるアセスメントを始める。訪問教師は、生徒が示す学業や社会行動の困難に対して、学校には子どもたちの家庭状況を理解してもらい、親には学校の要望や子どもたちのニーズ、教育の必要性を理解してもらうことで学校と家庭間の関係性を確立し、早期に対応していくことを目指した。
   その後、訪問教師はソーシャルワーク教育のもとで養成されるようになっていき、1943年にスクールソーシャルワーカー(schoolsocialworker)へと名称変更される。

1.SSWの歴史

  アメリカにおい貧困地域に設立されたセツルメントハウスでは、子どもたちの教育保障の場として勉強や料理、体育、音楽を教えたり、また親たちには職業訓練や託児・幼稚園の開設などの取り組みをおこなった。さらに、ニューヨーク市内のセツルメントハウスのワーカーたちは教育委員会に働きかけて、学校給食の保障や校医・スクールナースの配置、障害児クラスの設置などを求めて実現させていった。
   このように、セツルメントハウスのワーカーたちによる貧困地域の子どもたちへの教育保障の取り組みは、さらに学校と家庭をつなぐ活動へと展開していく。アメリカのスクールソーシャルワーカーの起源である訪問教師(visitingteacher)活動は、1906年~1907年にニューヨーク、ハートフォード、ボストンで、それぞれ独立して始動する。
   訪問教師のほとんどは、校長を通して教師から生徒の紹介を受けた。また、社会福祉局からの生徒紹介もあった。訪問教師に生徒が紹介される理由は、主に学業の不適応、悪化した家庭環境、不規則な登校、非行、遅刻、身体状況である。生徒の紹介を受けた訪問教師は、教師との面談、学級内での子どもの観察、子どもへの面談、家庭訪問にて保護者の面談によるアセスメントを始める。訪問教師は、生徒が示す学業や社会行動の困難に対して、学校には子どもたちの家庭状況を理解してもらい、親には学校の要望や子どもたちのニーズ、教育の必要性を理解してもらうことで学校と家庭間の関係性を確立し、早期に対応していくことを目指した。
   その後、訪問教師はソーシャルワーク教育のもとで養成されるようになっていき、1943年にスクールソーシャルワーカー(schoolsocialworker)へと名称変更される。

2.わが国のSSWの役割・業務と効果的な活用にあたって

(1)SSW導入の背景

  不登校、いじめ、非行、児童虐待、子どもの貧困、障がい、その他等、支援を要する児童生徒の背景には、家庭、学校、地域などの環境要因が大きく関係している場合がある。この環境要因を改善・解決するにあっては、学校だけの対応では困難なケースも多く、積極的に家庭や地域、関係機関等と協働した対応が求められている。

(2)SSW導入のねらい

  SSWは、学校においてソーシャルワーク(学校ソーシャルワーク)を実践する社会福祉の専門職である。ソーシャルワークでは、支援を要する児童生徒が抱える状況は本人と環境(学校・家庭等)との交互作用によって生じていると捉える。児童生徒にとって家庭環境や学校環境が快適で居場所があれば、児童生徒は安心して学校に登校し、教育に専念できる。しかし、家庭環境や学校環境が児童生徒にとって不快で居場所がなければ、支援を要する状況を抱えることになる。そこで、SSWは、児童生徒の家庭環境や学校環境等が快適な居場所となるよう、学校、家庭、地域、関係機関の協働による支援体制を進めていく。この取り組みを通して、児童生徒の抱える状況を改善・解決していくことがSSW導入のねらいである。
SSWの役割は、児童生徒の人権や教育及び発達の保障を妨げる環境要因を改善・解決していくことにある。

(3)SSWの職務内容

ア.児童生徒や保護者に対するストレグスの視点からの相談援助

  • 校内での児童生徒、保護者への相談援助
  • 電話や家庭訪問(アウトリーチ)による相談援助
  • 児童生徒、保護者へのアドボカシー活動(代弁・権利擁護)
  • 福祉、保健、医療等の制度利用及び社会資源等に関する情報提供ならびに利用支援
  • 児童生徒の居場所づくり

イ.関係機関とのネットワーク構築に向けた情報及び協働

  • 関係機関への定期的な訪問による情報交換及び協働に向けたケース会議

ウ.学校におけるチーム支援体制の構築に向けたケースマネジメント

  • 支援ケース会議などにて、ケースマネジメントに基づく児童生徒のアセスメント(情報収集・状況分析)、状況改善に向けた個別支援計画(長期支援計画と短期支援計画のプランニング)、支援計画の実行、支援介入後の事後評価(モニタリング)の実施
  • 学校による校内チーム支援体制づくりに向けた取り組みへの参画

エ.教職員への支援

  • 教職員への相談援助及びコンサルテーション
  • 児童生徒の支援に向けて必要な情報の収集及び共有
  • 学校と保護者の協働に向けた取り組み
  • いじめ防止対策推進法第22条における「学校におけるいじめ防止等の対策のための組織」一員として、同法に基づく対応を支援
  • 児童生徒支援に関連する校内研修等

オ.学校・家庭・地域の協働支援

  • 要保護児童対策地域協議会への参画
  • 保幼小中連絡協議会への参画
  • 地域による学校、家庭への支援体制の開拓

※ストレグスの視点

本人が有する長所や才能、強み、努力などに目を向けて支援する視点。

※家庭訪問(アウトリーチ)

家庭に出向き、当事者にサービスの情報やサービスそのものをつなぐ活動を行う。

※ケースマネジメント

支援を要する人のために種々なサービスを調整し,精査し,代弁し,実行し,評価していくこと。この支援のプロセスは,支援ケース会議にてアセスメント→支援計画の検討→支援計画の実行→支援計画の評価といったPDCAサイクルで進められる(下図参照)。

※アセスメント

支援を要する児童生徒の状況を分析していくために、本人自身,家庭,学校,地域,関係機関,他等の多角的視点から情報収集し、支援を検討していくための手がかりを得ていくこと。

※個別支援計画

長期支援計画は,望まれる児童生徒の状況であり,おおよそ3ヶ月以上の期間を想定するものである。長期支援計画は,短期支援計画の積み重ねにより達成されるものである。短期支援計画は,おおよそ1~3か月以内の支援計画(状況に応じては1日や1週間の場合もある)で,だれ(人・機関)が,いつ(いつまで),どのような具体的な支援を実行していくかを定めていくものである。

※協働

同じ目標に向けて,2人以上の専門職が児童生徒の状況を改善するために一緒に取り組んでいくことである。学校と関係機関がチームとして児童生徒支援を実施するためには欠かせない機能である。

※コンサルテーション

管理職や教職員に対し、SSWがソーシャルワークの視点から児童生徒への支援に関する助言や援助をしていくこと。

(4)SSWの配置形態

 SSWは,児童生徒が抱える状況の改善・解決に向けて,直接,児童生徒や学校・家庭・地域・関係機関に働きかけ、協働体制にて支援が推進されていくように取り組んでいく。そのため,SSWが直接支援を展開していける配置形態が効果的である。
 推奨される配置形態は,「中学校拠点巡回型」(下図参照)である。1中学校区で、拠点となる小学校に1名のSSWを配置する。この配置形態の効果は、①支援を要する児童生徒がきょうだいで小中学校に在籍している場合、小中学校の協働支援体制で取り組んでいけること、②小学校で中1ギャップや非行、いじめ等への予防及び早期発見・早期対応をしていけること、③学校支援に際して、関係機関や地域の支援者の協力を得ていくことが可能なことなどがあげられる。
 その他の配置形態には「派遣型」があるが、これはSSWを教育委員会に配置し、学校からの要請に応じて派遣するものである。しかし、対象校が多いため、SSWが抱える対象児童生徒数も増加していく。そのため、SSWによる児童生徒への直接支援の頻度も限られ、ケース会議や教職員へのコンサルテーションが主となる。また、SSWは学校に配置されていないため、日々の児童生徒の行動観察をする機会がなく、予防及び早期発見・早期対応への取り組みが難しい。

2.わが国のSSWの役割・業務と効果的な活用にあたって

(1)SSW導入の背景

  不登校、いじめ、非行、児童虐待、子どもの貧困、障がい、その他等、支援を要する児童生徒の背景には、家庭、学校、地域などの環境要因が大きく関係している場合がある。この環境要因を改善・解決するにあっては、学校だけの対応では困難なケースも多く、積極的に家庭や地域、関係機関等と協働した対応が求められている。

(2)SSW導入のねらい

  SSWは、学校においてソーシャルワーク(学校ソーシャルワーク)を実践する社会福祉の専門職である。ソーシャルワークでは、支援を要する児童生徒が抱える状況は本人と環境(学校・家庭等)との交互作用によって生じていると捉える。児童生徒にとって家庭環境や学校環境が快適で居場所があれば、児童生徒は安心して学校に登校し、教育に専念できる。しかし、家庭環境や学校環境が児童生徒にとって不快で居場所がなければ、支援を要する状況を抱えることになる。そこで、SSWは、児童生徒の家庭環境や学校環境等が快適な居場所となるよう、学校、家庭、地域、関係機関の協働による支援体制を進めていく。この取り組みを通して、児童生徒の抱える状況を改善・解決していくことがSSW導入のねらいである。
SSWの役割は、児童生徒の人権や教育及び発達の保障を妨げる環境要因を改善・解決していくことにある。

(3)SSWの職務内容

ア.児童生徒や保護者に対するストレグスの視点からの相談援助

  • 校内での児童生徒、保護者への相談援助
  • 電話や家庭訪問(アウトリーチ)による相談援助
  • 児童生徒、保護者へのアドボカシー活動(代弁・権利擁護)
  • 福祉、保健、医療等の制度利用及び社会資源等に関する情報提供ならびに利用支援
  • 児童生徒の居場所づくり

イ.関係機関とのネットワーク構築に向けた情報及び協働

  • 関係機関への定期的な訪問による情報交換及び協働に向けたケース会議

ウ.学校におけるチーム支援体制の構築に向けたケースマネジメント

  • 支援ケース会議などにて、ケースマネジメントに基づく児童生徒のアセスメント(情報収集・状況分析)、状況改善に向けた個別支援計画(長期支援計画と短期支援計画のプランニング)、支援計画の実行、支援介入後の事後評価(モニタリング)の実施
  • 学校による校内チーム支援体制づくりに向けた取り組みへの参画

エ.教職員への支援

  • 教職員への相談援助及びコンサルテーション
  • 児童生徒の支援に向けて必要な情報の収集及び共有
  • 学校と保護者の協働に向けた取り組み
  • いじめ防止対策推進法第22条における「学校におけるいじめ防止等の対策のための組織」一員として、同法に基づく対応を支援
  • 児童生徒支援に関連する校内研修等

オ.学校・家庭・地域の協働支援

  • 要保護児童対策地域協議会への参画
  • 保幼小中連絡協議会への参画
  • 地域による学校、家庭への支援体制の開拓

※ストレグスの視点

本人が有する長所や才能、強み、努力などに目を向けて支援する視点。

※家庭訪問(アウトリーチ)

家庭に出向き、当事者にサービスの情報やサービスそのものをつなぐ活動を行う。

※ケースマネジメント

支援を要する人のために種々なサービスを調整し,精査し,代弁し,実行し,評価していくこと。この支援のプロセスは,支援ケース会議にてアセスメント→支援計画の検討→支援計画の実行→支援計画の評価といったPDCAサイクルで進められる(下図参照)。

※アセスメント

支援を要する児童生徒の状況を分析していくために、本人自身,家庭,学校,地域,関係機関,他等の多角的視点から情報収集し、支援を検討していくための手がかりを得ていくこと。

※個別支援計画

長期支援計画は,望まれる児童生徒の状況であり,おおよそ3ヶ月以上の期間を想定するものである。長期支援計画は,短期支援計画の積み重ねにより達成されるものである。短期支援計画は,おおよそ1~3か月以内の支援計画(状況に応じては1日や1週間の場合もある)で,だれ(人・機関)が,いつ(いつまで),どのような具体的な支援を実行していくかを定めていくものである。

※協働

同じ目標に向けて,2人以上の専門職が児童生徒の状況を改善するために一緒に取り組んでいくことである。学校と関係機関がチームとして児童生徒支援を実施するためには欠かせない機能である。

※コンサルテーション

管理職や教職員に対し、SSWがソーシャルワークの視点から児童生徒への支援に関する助言や援助をしていくこと。

(4)SSWの配置形態

 SSWは,児童生徒が抱える状況の改善・解決に向けて,直接,児童生徒や学校・家庭・地域・関係機関に働きかけ、協働体制にて支援が推進されていくように取り組んでいく。そのため,SSWが直接支援を展開していける配置形態が効果的である。
 推奨される配置形態は,「中学校拠点巡回型」(下図参照)である。1中学校区で、拠点となる小学校に1名のSSWを配置する。この配置形態の効果は、①支援を要する児童生徒がきょうだいで小中学校に在籍している場合、小中学校の協働支援体制で取り組んでいけること、②小学校で中1ギャップや非行、いじめ等への予防及び早期発見・早期対応をしていけること、③学校支援に際して、関係機関や地域の支援者の協力を得ていくことが可能なことなどがあげられる。
 その他の配置形態には「派遣型」があるが、これはSSWを教育委員会に配置し、学校からの要請に応じて派遣するものである。しかし、対象校が多いため、SSWが抱える対象児童生徒数も増加していく。そのため、SSWによる児童生徒への直接支援の頻度も限られ、ケース会議や教職員へのコンサルテーションが主となる。また、SSWは学校に配置されていないため、日々の児童生徒の行動観察をする機会がなく、予防及び早期発見・早期対応への取り組みが難しい。

3.SSWの効果的な活用のために

(1)教育委員会における支援体制

(ア)SSWの役割等の周知

SSWの専門性を活かすためには、都道府県・市町村教育委員会、学校、関係機関等にSSWの役割などについて周知することが必要である。そのため、SSWの活用方法等について、教育委員会が資料等を作成し、学校、関係機関等に配布・周知することが望まれる。

(イ)スーパービジョン体制の整備

SSWは一人で学校現場に入っていくため、スーパーバイザーからの業務遂行での管理面、専門性向上に向けた教育面、精神的負担に対する受容面でのスーパービジョンが欠かせない。このスーパービジョンを通して、SSWは児童生徒へのよりよい支援を展開していく。また、スーパーバイザーは、SSWが活動しやすい環境を築いていくために、SSWと学校及び教育委員会の仲介役を担う。さらに、効果的なSSW事業を推進していくために、スーパーバイザーは教育委員会へのコンサルテーションを行っていく。

(ウ)関係機関との協働

SSWが関係機関の実務者と効果的に協働していくためには、教育委員会と関係機関部局によるネットワーク会議(県レベル・教育事務所レベル・市町村レベル・中学校区レベル)の充実を通して、SSWと関係機関の実務者が児童生徒支援にあたってパートナーシップを築いていける組織体制づくりを築いていくことが求められる。

福祉関係 児童相談所、福祉事務所、要保護児童対策地域協議会の所管部署、児童家庭支援センター、民生委員・児童委員、主任児童委員、社会福祉協議会、児童福祉施設、他
保健医療機関 保健センター、保健所、精神保健福祉センター、病院、他
刑事司法関係警察署(生活安全課等)、少年サポートセンター、少年補導センター、家庭裁判所、少年院、少年鑑別所、保護観察所、日本司法支援センター(法テラス)、スクールサポーター、保護司、少年警察ボランティア、他
教育関係教育支援センター、教育センター、教育相談室、他
団体スクールソーシャルワーカー協会、臨床心理士会、社会福祉士会、精神保健福祉士協会、弁護士会、他

(エ)SSW連絡協議会の開催

SSWの効果的な活用を促進するため、関係者を参集し、SSWの活用、SSWの支援方法等について、研究協議や情報交換を行う連絡協議会を開催することが望まれる。

(2)学校における体制づくり

(ア)教職員全体の共通理解

学校によっては、児童生徒支援をSSWに委ねてしまうことや学校内の教職員間の協働が不十分で、ケース会議を開催できないこともある。そのため、教育委員会において策定されたビジョン等を基に、専門スタッフ活用計画を作成し、SSWの配置のねらいや専門性、役割等について全ての教職員が理解し、校長のリーダーシップの下、ケース会議を日常的に行うなど教育相談体制を整備・充実させることが重要である。

(イ)管理職の役割

管理職は、専門スタッフ活用計画を作成し、学校の目指す方向や学校が抱える課題を明確にすることが必要である。この計画を実効性のあるものとするため、教育相談コーディネーターや生徒指導主事(補導教諭)、養護教諭、SSW等の役割を明確化しておくことも必要である。

(ウ)教育相談コーディネーターとなる教員の位置付けと役割

機能的な教育相談体制を構築するためには、中核となる教職員を位置付けることが必要である。学校全体の児童生徒の状況を把握し、SSWや関係機関等と連絡調整を図るなど、児童生徒の抱える状況の改善・解決に向けてリーダーシップを発揮する者として、校務分掌においてもその旨を明確にすることが重要である。

(エ)校内体制への位置付け

SSWを校務分掌に位置づけ、校内の定例支援ケース会議のメンバーに加え、教職員のスタッフとして位置づけていくこと。

(オ)活動環境の整備

SSWが教職員のスタッフとして位置づけられ、児童生徒支援で教職員への身近な相談相手になれるように、職員室にSSWの席を設けることが必要である。

(カ)学校種間の協働

児童生徒の支援においては、保・幼・小・中・高と、就学前から就学後までの切れ目のない支援が求められる。各種学校はSSWと協働して、支援を要する児童生徒の情報共有と支援計画の作成・実行を継続していくことが重要である。なお、個人情報の保護に関する条例を遵守し、情報提供に関して、児童生徒本人やその保護者から同意を得るように努めるなどして対応する。

(キ)保護者、地域への周知

学校通信や学年通信、ホームページ等で広く保護者や地域の方々にSSWを紹介・周知するとともに、保護者会やPTA総会などの場を利用してSSWを紹介し、その役割や仕事の内容を説明することが必要である。

3.SSWの効果的な活用のために
(1)教育委員会における支援体制

(ア)SSWの役割等の周知

SSWの専門性を活かすためには、都道府県・市町村教育委員会、学校、関係機関等にSSWの役割などについて周知することが必要である。そのため、SSWの活用方法等について、教育委員会が資料等を作成し、学校、関係機関等に配布・周知することが望まれる。

(イ)スーパービジョン体制の整備

SSWは一人で学校現場に入っていくため、スーパーバイザーからの業務遂行での管理面、専門性向上に向けた教育面、精神的負担に対する受容面でのスーパービジョンが欠かせない。このスーパービジョンを通して、SSWは児童生徒へのよりよい支援を展開していく。また、スーパーバイザーは、SSWが活動しやすい環境を築いていくために、SSWと学校及び教育委員会の仲介役を担う。さらに、効果的なSSW事業を推進していくために、スーパーバイザーは教育委員会へのコンサルテーションを行っていく。

(ウ)関係機関との協働

SSWが関係機関の実務者と効果的に協働していくためには、教育委員会と関係機関部局によるネットワーク会議(県レベル・教育事務所レベル・市町村レベル・中学校区レベル)の充実を通して、SSWと関係機関の実務者が児童生徒支援にあたってパートナーシップを築いていける組織体制づくりを築いていくことが求められる。

福祉関係 児童相談所、福祉事務所、要保護児童対策地域協議会の所管部署、児童家庭支援センター、民生委員・児童委員、主任児童委員、社会福祉協議会、児童福祉施設、他
保健医療機関 保健センター、保健所、精神保健福祉センター、病院、他
刑事司法関係警察署(生活安全課等)、少年サポートセンター、少年補導センター、家庭裁判所、少年院、少年鑑別所、保護観察所、日本司法支援センター(法テラス)、スクールサポーター、保護司、少年警察ボランティア、他
教育関係教育支援センター、教育センター、教育相談室、他
団体スクールソーシャルワーカー協会、臨床心理士会、社会福祉士会、精神保健福祉士協会、弁護士会、他

(エ)SSW連絡協議会の開催

SSWの効果的な活用を促進するため、関係者を参集し、SSWの活用、SSWの支援方法等について、研究協議や情報交換を行う連絡協議会を開催することが望まれる。

(2)学校における体制づくり

(ア)教職員全体の共通理解

学校によっては、児童生徒支援をSSWに委ねてしまうことや学校内の教職員間の協働が不十分で、ケース会議を開催できないこともある。そのため、教育委員会において策定されたビジョン等を基に、専門スタッフ活用計画を作成し、SSWの配置のねらいや専門性、役割等について全ての教職員が理解し、校長のリーダーシップの下、ケース会議を日常的に行うなど教育相談体制を整備・充実させることが重要である。

(イ)管理職の役割

管理職は、専門スタッフ活用計画を作成し、学校の目指す方向や学校が抱える課題を明確にすることが必要である。この計画を実効性のあるものとするため、教育相談コーディネーターや生徒指導主事(補導教諭)、養護教諭、SSW等の役割を明確化しておくことも必要である。

(ウ)教育相談コーディネーターとなる教員の位置付けと役割

機能的な教育相談体制を構築するためには、中核となる教職員を位置付けることが必要である。学校全体の児童生徒の状況を把握し、SSWや関係機関等と連絡調整を図るなど、児童生徒の抱える状況の改善・解決に向けてリーダーシップを発揮する者として、校務分掌においてもその旨を明確にすることが重要である。

(エ)校内体制への位置付け

SSWを校務分掌に位置づけ、校内の定例支援ケース会議のメンバーに加え、教職員のスタッフとして位置づけていくこと。

(オ)活動環境の整備

SSWが教職員のスタッフとして位置づけられ、児童生徒支援で教職員への身近な相談相手になれるように、職員室にSSWの席を設けることが必要である。

(カ)学校種間の協働

児童生徒の支援においては、保・幼・小・中・高と、就学前から就学後までの切れ目のない支援が求められる。各種学校はSSWと協働して、支援を要する児童生徒の情報共有と支援計画の作成・実行を継続していくことが重要である。なお、個人情報の保護に関する条例を遵守し、情報提供に関して、児童生徒本人やその保護者から同意を得るように努めるなどして対応する。

(キ)保護者、地域への周知

学校通信や学年通信、ホームページ等で広く保護者や地域の方々にSSWを紹介・周知するとともに、保護者会やPTA総会などの場を利用してSSWを紹介し、その役割や仕事の内容を説明することが必要である。

4.SSWの業務遂行に当たって配慮すべき事項

(1)守秘義務について

学校教育の中で活動するSSWの得た個人情報は、学校全体で管理することが基本となる。

(2)家庭訪問の方法について

児童生徒の状況によっては、SSWは直接家庭訪問を行うこともある。その際には、活動根拠を明確化するとともに、学校と協働しながら保護者の理解を得た上で行うよう努める必要がある。

(3)緊急支援が必要な場合の対応について

児童生徒が関わる重大な事故やトラブルなど、予期せぬことが起こることがある。その際には、学校が重大な事案に対応する緊急体制にSSWも加わり支援を行うことも検討する必要がある。学校長が外部の緊急支援を要請し、緊急支援チームが事案に対応する際には、学校が緊急支援チームから受けた情報提供や助言をSSWと共有しながら支援を行う。

※以上の本文作成にあたっては、文部科学省のSSWガイドラインを参考に、子どもたちへの直接支援を基盤にした学校でのソーシャルワーク(学校ソーシャルワーク)実践の観点からまとめたものである。

4.SSWの業務遂行に当たって配慮すべき事項
(1)守秘義務について

学校教育の中で活動するSSWの得た個人情報は、学校全体で管理することが基本となる。

(2)家庭訪問の方法について

児童生徒の状況によっては、SSWは直接家庭訪問を行うこともある。その際には、活動根拠を明確化するとともに、学校と協働しながら保護者の理解を得た上で行うよう努める必要がある。

(3)緊急支援が必要な場合の対応について

児童生徒が関わる重大な事故やトラブルなど、予期せぬことが起こることがある。その際には、学校が重大な事案に対応する緊急体制にSSWも加わり支援を行うことも検討する必要がある。学校長が外部の緊急支援を要請し、緊急支援チームが事案に対応する際には、学校が緊急支援チームから受けた情報提供や助言をSSWと共有しながら支援を行う。

※以上の本文作成にあたっては、文部科学省のSSWガイドラインを参考に、子どもたちへの直接支援を基盤にした学校でのソーシャルワーク(学校ソーシャルワーク)実践の観点からまとめたものである。

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